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さて、今回の御相談はトヨタ・サイ。
202ブラックと言う漆塗りの様な、純粋なピアノブラックが全面に施された、これぞ日本の黒とでも呼ぶべき伝統の黒。
さて、良い塗装とは?・・・ズバリ密度が高い状態の物・・・その密度は?使用環境やお手入れ状態に影響され、同時に元々の塗装質や塗装色がそれに輪をかけ、その後の差を生みます。
密度で何が変わるのでしょうか?
密度が高い・・・劣化していない状態
※汚れの染みこむ隙間が僅かな為、汚れにくく汚れも落ちやすいので劣化しにくい。
密度が低い・・・劣化した状態
※汚れは染みこみやすく、染みこんだ汚れは塗装内部で酸化し、劣化を促進させ、洗車しても汚れが取れない為、強く擦ったり、研磨材で磨いたりと、塗装はどんどん摩耗し耐久性を失う。
では、なぜ塗装は劣化するのか?
自動車の塗装は石油からできた有機素材です。
それら有機素材は、紫外線、熱、酸化、摩擦、汚染、などの外的要素で徐々に劣化し、やがてサクサクの脆い状態に朽ちてきます。
それは避けられません。
そして・・・国産の黒は最も劣化の影響を受けやすい弱い塗装と言えるでしょう・・・。
202の本当の難しさは、研磨傷が目立つとか、施工ムラが目立つとかの、単純に「下手くそ」作業の問題も含め、劣化度合いに対しどの様に対応し、どの様な処方と実作業を行えるかが重要なのです。
例えば・・・
同じ面を磨いてみます。
セッティングと仕上げ方ひとつ変えるだけでこれ程を生みます。
●赤丸の面は手つかずの状態。
●緑丸は研磨傷もなく一見すると綺麗ですが、黒さでいうなればワントーン白くなってますね。
●黄丸はいかにも黒々と良い感じになっています。
既に傷つき劣化している全パネルを 黄丸 の状態に整えます。
傷の深さ以上は無駄に削ることなく、傷の状態に合わせバランスよく塗装強度を温存しながら磨きます。
塗装は磨いているうちにある変化を伝えてくれます。
感覚的に分かる人・・・経験から判断する人・・・しかし全ては見える環境でのお話。
初めの状態からは随分と綺麗になりましたが、深い傷は深追いしません。塗装強度維持の方が何よりも優先します。
しかしまだ馴らしも終わっていないので、実際はさらに綺麗になります。
密度が低下しやすいルーフを磨けば、丁寧な洗浄後にも拘らず、「バフ」と言う研磨時に使用する研磨素材が写真のように黒ずんできます。
半分だけ清掃するとその差は歴然・・・。
実は研磨には、傷を磨き消す以外にも、塗装内部に頑固にしみ込んだ汚れを浮かび上がらせ、除去する目的もあるので、研磨イコール削り取ると言うマイナスイメージだけではないのです。
正し・・・正当な研磨スタイルを行う場合に限りますが・・・。
余程のお手入れが行き届き、保管状態の良い202以外は、全てこのような目には見えない染みこんだ汚れが存在し、これらは酸化したのち塗装面の光沢を鈍らせ、塗装を劣化させます。
ガラスコーティングと言う響きから、ガラスコーティングは塗装面を硬く強くする印象ですが、本当の目的は、塗装面の密度を塗装以上に高密度化し、塗装の防汚性を向上させることに特化した製品です。
塗装並みの膜厚など作り出せません。 全ては土台となる塗装の強度に準じます。大げさな宣伝に誤魔化される事なく、本質を御理解ください。
サイの作業はまだまだ始まったばかりです。
プロショップのノウハウは、気安く公開できませんが、オーナー様には最高の仕上がりをご提供いたします。