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ネットでは様々な情報が散在し危険な情報もいっぱい。
例えば・・・
「ボディーがザラザラしている」際の対応策での危険
たばこのケースを包んでいる透明のセロハンで塗装面を撫でると「ザラ!」としたら、それが鉄粉です・・・と言う表記が多い。
その際は「トラップ粘度」でこう処理します・・・と言う説明や動画もある。
ココでの最大の危険は「トラップ粘度を使うと100%傷だらけになる」事です。
そもそもザラザラの原因が鉄粉とは限りません。
ザラザラ=鉄粉=トラップ粘度と言う単純な物でもありません。
では粘土を使うとどうなるのかご覧い頂きます。
今回のお車は不幸にも「建築塗装のミスト被害」に苛まれご相談頂きました。
白いツブツブは塗料です。
通常の塗装は「主剤(塗料樹脂)と副材(硬化剤)と希釈剤(溶剤)」を適切な分量で配合し主剤と硬化剤の化学反応で液体から個体へと変化します。
一度硬化したものは非常に安定し、その時使用した溶剤でも簡単には溶けません。
なので硬化したものを溶剤で取ろうとしても無駄です。
ただし・・・ラッカー系は溶けますが今回のケースでは水性の建築塗料の硬化した状態の為、溶剤による除去は出来ません。
そうなると残された道は・・・「トラップ粘度」での強制除去です。
粘度は鉄粉以外でも様々な用途があります・・・同時にそれ相当のダメージも・・・
作業の流れは・・・
①シャンプー洗浄、ケミカル洗浄による下洗い
②ラバークロス(付着物を絡めとる特殊な加工クロス)での初期除去
③ふき取り乾燥
この段階で取れる範囲は6割強でこの洗浄で塗装を出来るだけ滑らかにしておきます。
その後・・・
④トップ粘度による地道で細かな除去
となり現在が④です。
乾いたボディーに「スムーサー」と言う滑り剤を吹き付け、塗装に食い込む深い傷をつけない様にコツコツと作業します。
そしてふき取り面の確認・・・
これを繰り返し地道に除去していきます。
①~③の段階で深い傷の原因の汚れや付着物は取れているので、しつこく貼り付いた塗料のみを取り除く工程となります。
鉄粉にしろ塗料にしろこの手の作業はかなりの摩擦が生じるので塗装面は傷だらけになります。
言い換えれば「トラップ粘度」は研磨剤なのです。
それ故に硬さ(研磨力)の違う様々な粘度が存在します。
粘度使用後・・・悲惨でしょ!
塗料の有無を見極める為、順光で光を当てて作業します。
当店の環境では上面に関してはこの手の作業は蛍光灯が良いですね・・・側面はスポット照明の順光が塗料のツブツブがよく見えます。
傷を見る逆光はツブツブ除去には向きません。
でも傷は嫌程見える・・・
光の当て方でも色々とあるのです。
でっ、
という初めの説明が分かって頂けましたかね・・・。
研磨が前提ながらも深い傷を入れては元も子もないので、そこにプロの作業ノウハウがあり、傷の深さが浅く均一なので研磨でスッキリと綺麗に戻せます。
これはプロ施工店である当店のお話で、一般のお客様が屋外で(砂埃も舞う)トラップ粘度作業を行うのは相当の覚悟が必要ですね。
では明日から研磨です。
研磨も出来ない部品(無塗装樹脂)は全て交換です。
塗装ミスト被害は時間とかなりの費用が掛かります。
今回は保険請求なので問題ないのですがそれでも大変です・・・。
何よりも重要なのは新車レベルまで復活させることです。